Message/未来の研究者へ

研究室はどんな雰囲気ですか?

松本:チームワークの強い研究室と思います。人の足を引っ張ろうと思う人は、私たちの研究室にいれないと思います。困っている人がいたら、お互いに気になって言葉をかけます。信頼感の中で切磋琢磨できる雰囲気です。

学生(大学院生)を指導するときに心がけていることはありますか?

松本:やがて大学院を修了し、職に就いた時、周囲の人々、同僚や先輩、上司に、君が受け入れられ、君の特徴が発揮されて、やがて周囲の人の信頼が得られる人になってほしいです。そのためには、研究に向かう姿勢、研究を介して得られる経験、日常の生活の中に信頼を得るためになすべき課題があります。それぞれの学生の個性と能力によって課題が違うけど、スタッフは誠実に君に向き合って、君の成長につながるようにアドバイスするし、時には同じ目線で一緒に考えます。

今まで、がんに関わる講義を受けたことがありません。でも、大学院生として勉強や研究をしてみたいです。大丈夫ですか?

松本:大丈夫です。大学院生として、研究、セミナー(ジャーナルクラブ)、研究発表、講義、日常の生活も、一生懸命に向き合えば、大学院に入る前と後、before & after、見違えるように成長できます。一生懸命に向き合うことを継続してほしいです。

大学では分子生物学、細胞生物学、生化学といった講義があまりない学部でした。先生の研究室で大学院生としてやっていくこと、大丈夫でしょうか?

松本:大丈夫です。大学院の研究をスタートするまでに、記憶すべしということでないけど、一通り読んでいてほしいというテキストに相当するものはあ流ので、そのアドバイスをできます。でも、研究をスタートすると、日々の実験の中に、「この実験、なぜ、こうするのかな?」、いつもそんな疑問をもって、テキストや今ならネットで調べることを怠らなければ、「活きた知識」として、テキストを読んで記憶する以上に、どっぷり身につきます。

将来、バイオ関係の研究や開発に関係する仕事につくことを希望しています。ただ、今の自分は、正直、自信がないのですが、大丈夫ですか?

松本:そうだね。自信はそうそうに身につくものではないでしょう。スタッフが期待していることは、小さな自信をもつ経験を重ねることです。研究、ジャーナルクラブ、研究報告、一つ一つに、手を抜かないで一生懸命に向き合います。小さな経験のように思うけど、そうじゃない。一生懸命に向き合って、「(なんとか)できた!」、この経験を実感してほしい。小さな自信は、君にとって不連続の成長の力です。小さな自信は、やがて、そこそこの自信、自覚できる自信になります。

将来、研究者になりたいです。大学や公的な機関で仕事をしたいです。希望をかなえられる可能性はありますか?

松本:君が研究者になりたいと思うのはなぜ?なぜ、その研究がしたいの?生命やがんや病気のことを、純粋に不思議でたまらなく研究して、深く知りたい人もいるよね。あるいは、家族が病で苦しむ姿を見る経験をして、それがきっかけで、研究して役に立ちたいと思う人もいるよね。どちらのタイプがいいとか悪いということはないです。君はどっちのタイプかな?自分の特徴、思い、あるいは志をありのまま受け入れたら、その特徴、思い、あるいは志を大切にできると思う。

博士課程への進学を考えていませんが、修士課程(あるいは博士前期課程)の勉強で力がつくでしょうか?

松本:上に書いたことと重複するけど、研究、ジャーナルクラブ、研究報告、一つ一つに、手を抜かないで一生懸命に向き合った人は、目に見えて力を身につけます。小さな達成感を積み重ねることができて、それが自信につながります。それは、やがて社会に出て、仕事に向き合った時に、修士課程での経験は無意識だけど活かされると思います。

大学院の途中で就職活動が必要になると思いますが、就職活動にある程度時間をかけてもいいですか?

松本:職活動として適切な時間をかけることを認めています。大学院生の様子を見ていて、就職活動にある程度は時間をかけないと達成されないことを理解しています。就職活動らしきことをあまり/ほとんどしないでも、就職できた学生もいます。相手の人からみて、「この人となら一緒に仕事をしてみたい/してもいい」と思われたからでしょう。就活に関する一般的なアドバイスよりも、良くも悪くもありのままの自分を受け入れて、自分をされけだせる学生は、たどたどしくても、言葉にも特徴や人柄がでます。就活で面接官から、「この人となら」って思ってもらえる自分に成長するチャンスは、日々の研究、セミナー、研究報告会の中にあります。